研究内容

当研究室では常時3つ程度のテーマを同時に研究しています.研究における 主な測定技術として超音波測定法,水晶マイクロバランス法,ねじれ振り子法 を用いています.主要なテーマの他にもこれらの技術を応用した共同実験を 行っています.また,学内の共同研究施設を利用した研究も積極的に行って います.現在の主なテーマは以下の5つです.


ヘリウム吸着膜のナノ摩擦 → (詳細へ)

水晶振動子.ポーラスゴールド基板.

ナノスケールの摩擦研究の重要な研究テーマは吸着膜の固体表面のすべり研究 です.これは実際の材料と比較して表面の状態やすべる物体の状態をはっきり 決めることができ,分子スケールの摩擦のメカニズムが明らかになるだろうと 考えられるからです.私たちは低温環境での水晶マイクロバランスを利用して ヘリウム吸着膜の摩擦を測定しています.ヘリウム吸着膜は低温になると摩擦 力が小さくことが明らかになりした.


水晶マイクロバランスを用いた新しい摩擦顕微鏡の開発

AFMQCM測定装置.

ナノスケールの固体表面の摩擦は原子間力顕微鏡(AFM)を利用して測定され てきました。しかしAFMでの水平力の測定は静摩擦に対応し,動摩擦を直接 に測定するものではありませんでした.私たちは水晶マイクロバランスを 利用してナノスケールで動摩擦を測定する装置を開発し,固体表面の動摩 擦はどのようなメカニズムで決まるのかをを目指しています.この研究は 新しい潤滑材料やナノマシンの開発にもつながるものと考えています.


フラーレン-グラファイト複合材料のナノ摩擦

マジックアングル固体NMR.

フラーレン-グラファイト複合材料のナノ摩擦の研究は愛知教育大学 の三浦研究室との共同研究として行われています.三浦研究室において 独自に開発されたこの材料は,原子間力顕微鏡を用いた摩擦力測定に おいてnNレベルの超低摩擦を示すことが明らかとなっています.この 低摩擦状態の実現のメカニズムを比熱や固体NMRの測定法によって 明らかにすることを目指しています.


ナノ多孔体中のヘリウムの超流動

ねじれ振り子と超音波の同時測定用セルとトランスデューサーをはりつけた多孔質体試料.

ナノ多孔体に閉じこめたヘリウムの振る舞いを超音波測定法, ねじれ振り子法を用いて測定しています.ナノ多孔体に 閉じこめられたヘリウムの,自由なヘリウムとは異なる超流動 性等,新奇な振る舞いを調べています.


磁性材料の超音波測定

超音波測定用セル.

鈴木・谷口研究室で得意とする超音波測定法により,磁性材料の物性を 調べています.